マーラー:交響曲第6番「悲劇的」

スヴェトラーノフ指揮NHK交響楽団(king,nhk)1999/2/11live・CD

やっと出てきたか、というスヴェトラN響のマーラーライヴである。一気に中期純管弦楽交響曲三曲が、収録時期はばらつくが発売されたということで、「当時の思い出を聴きたい向き」にはすすめられる。同じライヴではないが7番などTV放映もされているので、このシリーズの売れ行き次第で映像として発売されるかもしれない。またマーラーは90年代中盤の9番ライヴ(評論家の評判は悪かった)を嚆矢として日本では人気の演目であり、スヴェトラ自身も(バンスタを好んでいたという)当時一番力を入れていたと言っていい作曲家ゆえ、興味深く聴ける人はほかにもいるかもしれない。すでに全集化していたものはまさに最晩年様式というような、弛緩したテンポの薄味のものだったが、さらにその先にこのような生き生きとしたマーラーをやっていたわけである。ただ往年の粘り腰は無い。4楽章の一部を除きスヴェトラにしてはさらさらしてオーソドックスであり、テンポが速く、普通に聴きやすいのだが過度に期待すべきものではない。わかりやすくドラマティックな交響曲で形式的にも整っているから、慣れていない楽団や一期一会のコンサートには向いており、N響とスヴェトラの相性が良いといってもこれを聞く限り踏み外した棒にまでついていけるような感じはしないので(4楽章後半にはミスが目立つ)、「6番が最も良かった」という印象は「6番だから良かった」とするべきと思う。1楽章の提示部の繰り返しを行っているが、繰り返しに入るまでの序盤がじつに固い。かなり低カロリー。1楽章は旋律主体なのでそれを思いきりうたわせればなんとかなるものの、ここではそこまでの歌いこみはなく、ちょっと冷めている。中間楽章ではスケルツォがまとまっていて、リズミカルで聞きやすいが、この2,3楽章も「スヴェトラでなければならない」というものはない。4楽章、これが出来ていれば他の楽章はどうでもいいとまで言ってしまうが、このドラマの作り方はさすがに上手い。ロンド形式のように同じ楽想の緩急バリエーションを配置してうねらせていく交響詩、長い楽章はスヴェトラ本来の腕が生きてきて、シェフにより巧拙極端なN響がやっと本腰を入れたような技巧的なアンサンブルやソロを聴かせてくる・・・が前述のとおり後半で息切れ。弦がずれたりソロがとちったり、それでも難曲であることを感じさせずに終焉へ向かうのだが、気になる人は気になるだろう。スヴェトラの悲劇的としては正規録音より上かもしれないが、過度な期待は禁物。圧倒されてブラヴォが出ない、という聴衆反応でもなく、普通の拍手がさっさと入ってくる、そういうものだ。
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