あけましておめでとうございます

旧年中はお世話になりました。

ラヴェル:マ・メール・ロア組曲

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA)CD

ステレオ録音が古いのが透明感をそこなって惜しいが、得意曲であり、ニュアンスの宝庫をここぞとばかりの雰囲気たっぷりに、しかし飽きさせるような耽溺はせず聴かせきる。ラヴェルが無邪気な夢幻をもっとも美しく、素直にあらわした曲で、ミュンシュの印象からするとピアノ原曲に近いような、旋律を強くひびきをよりリアルに抉ってきそうなところ、この曲ではじつに耳に優しい細やかな演奏、かつわかりやすいものに仕立てている。ボストンオケで良かったというような機能性の高さによって微細な部分までの配慮を行き届かせることができている。素晴らしい。

ラヴェル:ボレロ

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCA)CD

ステレオ。ミュンシュはテンポを崩したような演奏もしているがこれはバランスの取れたまっとうなボレロ、しかし勢いと力感はもはやバレエではない域に達した名演。ラヴェル音楽祭の指揮者を若き日に勤めただけある、オケも不断の緊張感でのぞんでいるし音も技術も素晴らしい。録音が古くて印象的にはノイジーな雲に覆われた感もあるのが残念。

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ブラームス:交響曲第2番

ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル(ARTISTS)1978/4/29レニングラード・CD

拍手がないので放送用セッションか。ムラヴィンスキー晩年にしては西欧的な均整感にもとづく緊張の漲る演奏で、ロシアオケ特有の音色表現はほとんど気にならず、立派なブラームスになっている。まったくこれがスヴェトラのブラームスとは異なる、本流のブラームスとして聴ける演奏であり、ロシアかどうかは問題ではない。羽目を外さずしかし凄まじい四楽章は特筆もの。

ブラームス:交響曲第3番

ワルター指揮VPO(angel他)1936・CD

この時代の録音ゆえフル編成とは思われず音色も正しく伝えられていないと思えるのでウィーン・フィル云々は別として、ワルター全盛期を窺い知ることのできる演奏。スピーディに躍動的な音楽を展開してゆき、アメリカへ行ってのち晩年スタイルへ移行する前の生命力あふれる指揮ぶりに心奪われる。オールドスタイルに無茶苦茶をやっているわけではない、けれども決して飽きない。四楽章の愉悦にはワルターの本領であるモーツァルト的なものを思わせずにおれないものがある。軽々しく感じてしまうところもあるが、そこは音域ふくめ録音のせいの気もする。良い演奏。

シベリウス:交響曲第2番

クーセヴィツキー指揮ボストン交響楽団(RCA/artis他)1950/11/29・CD

クーセヴィツキー最後の録音の一つとして相対的に破格の音の良さから疑似ステレオ盤もつくられわたしはそれを持っていた。もっとも質の悪い薄盤であまり聞かなくなったのでartis40枚組を入手して聞いた次第。クーセヴィツキーのノイズの中から響いてくる剛速球のイメージが、霧が晴れたようになってあらためて面白い。2番は旧録(1935)もあるがオケの出来からいっても演奏の落ち着きからいってもこちらのほうがシベリウスらしくて良い(クーセヴィツキーもオーマンディもシベリウスと懇意で信頼されていたアメリカの指揮者だ)。音色はさほど魅力はないが厳しく技術的な瑕疵なきようまとめあげられ、音は短く切り上げ気味で発音が強く、このあたりがノイジーなライヴ録音で聞こえてくるスタイルのもとなのだとわかる。音の気を抜かせない、ブラスの長い音符でも決して歪ませずまっすぐ太く保たせる、弦楽器は多少萎縮してテンポを揃えなおしてでも細かい音符まで合わせさせる、これは昔はあまりなかったかもしれないが、なくはなかった。3楽章以降はちょっとまともになりすぎている感もあるがライヴではないからこんなものだろう。比較的ゆっくりでゆるい感もあたえる弦の刻みから4楽章の予兆を木管アンサンブルがかなではじめる前のものすごい空白はプレイヤーが壊れたかと思うが単なるパウゼである。その後はさすがに最晩年なりの落ち着きは出ているが流れ良さは保たれている。作為なく譜面通り、シベリウスのわざをそのままにお届けする4楽章はものすごいアッチェルとかデフォルメを期待してはいけない。むしろ落ち着いて身をゆだねる、さすがにオケのコントロールは見事で自然に立体的に組みあがり調和が保たれている。沈潜する雰囲気は2楽章より4楽章の展開部のほうが強い。もうすっかり灰汁の抜けた大人しい演奏になっているので過度な期待は無用だ。しかしここから最後のクライマックスにかけては意地をみせる。ここを聴かせるためだけに長々とやってきたのかという再現部はいきなり大仰で感動的である。高音の音量がもっとほしく思うが書法のせいだろう。短調のうねりにのったペットのヴィブラートが美しい。転調はあっさりだがテンポは落としてじっくりやる。かつてのこの指揮者にはあまりなかったやり方ではある。ブラスと太鼓により壮大な結末が提示される。ラストはきっぱり切る。

ドビュッシー:管弦楽のための夜想曲

プレートル指揮フィレンツェ五月祭管弦楽団&合唱団(MAGGIO)2004/3/6コムナーレ劇場フィレンツェlive・CD

1楽章はひそやかに、時に止揚しつつ進む音楽。近年にはめずらしいタイプのロマンティックな解釈だが徹底してピアニッシモの世界なので奇妙さは感じない。祭りも独特の創意は解釈に表れているが「まつり」というには重いというか、ゆっくりというか、テンポも変化はするけれど早い遅いだけでなく細かく速度を計算的に動かしていてひとことでは言いづらい。静まってゆき3楽章へといざなう。このころのプレートルは静寂のほうが向いていたのではないかと思わせる、ホルストのような神秘だ。世俗的なオケソリストのフレーズも合唱で神秘にまとめられる。癖のない非常に繊細なシレーヌで、おおきなディミヌエンドで消えていくまで聞き入ることができる。これはよかった。

ドビュッシー:三つの交響的エスキース「海」

プレートル指揮フィレンツェ五月祭管弦楽団(MAGGIO)1992/10/31ヴェルディ劇場フィレンツェlive・CD

1楽章は明るくゆったりとした音楽になっているが時折奇矯なことをやって耳を引く。作為が見えてしまい居心地が悪く思えるところもある。2楽章は動きが加わるが1楽章でもかんじられたオケの弱さが気になる。ライヴだからこそ弦楽器の乱れがよくきこえてしまう。90年代前半の演奏なのでまだプレートルも壮年の輝きをはなち弱音の美麗さ、末尾のハープとかさなる楽器のリタルダンドまで美しい。3楽章の不穏なはじまりは明るい雰囲気をちゃんと曲想にあわせて変えてきている。オケに配慮が行き届いている。きちっと激しいところは鋭くやっている。ただメロディ楽器の音符の最後に瞬間テンポルバートをかけ引き延ばしてディミヌエンドさせおさめるなど後年まで続くやわらかい処理は顔を出す。緩急がよくついており、それはよくあるデジタルな変化ではなくやわらかい自然なもので物語性を一貫して演じさせ印象深い。楽想変化もすこぶるあざやかだがすべらかでわかりやすい演出がほどこされる。丁寧で、性急に終わるに向かうことはしない。力づくで叩きつけるのではなく雄大な波のうねる表現はなかなかだ。終わり方も丁寧。少し作為的だが良演だと思う。拍手はふつう。

ブラームス:交響曲第4番

クーベリック指揮ORTF(forgottenrecords)1960/9/9live

残念ながらノイジーなモノラル録音だがクーベリックライヴらしいテンションのブラ四。フランスオケと思えない重い音でガシガシ来る三楽章などフルトヴェングラー的ですらある。いい意味で安心して聞ける、楽しめるブラ四であり、枯れた味わいは皆無だが、何かを追悼するかのような雰囲気はある。

ミヨー:交響曲第5番

フランシス指揮バーゼル放送交響楽団(cpo)CD

ミヨーの交響曲でも30分超えはこれくらいではないか。この前後は長い交響曲が多いが群を抜いている。しかし内容は同じ。ただでさえ連綿と続く同じような調子、騒がしさの音楽なので、構成への配慮が感じられず、構造や部分部分の創意で楽しめないと聴いていられない。一番のような牧歌だけの交響曲ではなくより深く、複雑な交響曲らしい交響曲になっているのは四番とくらべてもあきらかで、メロディもあまりわかりやすいものではなく工夫は重ねられている。それが逆効果になって、断ち切れるフィナーレまで、四楽章のおのおのの性格の違いは明確だが、おのおのの中はごちゃごちゃした同じ調子にきこえてしまうのだ。まだフランシスとバーゼルだから明晰で耐えられるのだと思う。

ファリャ:「三角帽子」~第一組曲、第二組曲

アンセルメ指揮ボストン交響楽団(SLS)1961/12/8ボストンlive

初演者晩年のライヴでライヴなりの精度の部分もあるが情熱と正確さの同居した高度な技術を駆使した指揮ぶりはこの人には珍しく?少しのブラヴォをも呼んでいる。篭り気味ではあるもののステレオのため迫力が違う。冒頭などミュンシュのような弦の力みにびっくりする。およそミュンシュでもモントゥでもない、しかしミュンシュの音、モントゥのリズム感といおうか、この指揮者は楽団に好かれなかったとも聞くがそれが音にあらわれないのはまさにプロである。短い曲集なので一気に聴いてほしいが、やっぱり第二組曲だろう。二曲目最後の恐ろしい畳み掛け(もっともブラスのソロが悉くとちっているのは惜しい)、さらに終曲のスケールの大きな大団円は、取ってつけたような言い方をすれば南欧というよりスイスの青空のように明るい。もっとも整えられたような透明感をことさらに煽ることはなく、アンセルメがロシア音楽にも定評があったことを思い起こさせる。色んなバランスを客観的にとって、それをミュンシュのオケがモントゥーふうにやったような、と言えばわかるだろうか。わからないか。

ベートーヴェン:コリオラン序曲

フルトヴェングラー指揮BPO(history他)1943/6・CD

ベートーヴェンの序曲等の中でも目立った派手なところがなく精神性を求められる曲である。私ははっきり言って苦手で、フルヴェン先生の厳しく引き締まった、ナチ時代の異様な録音であっても、ただの精神性の塊で音楽とは認識できなかった。

バッハ(レスピーギ管弦楽編):パッサカリアとフーガ(ハ短調)

モントゥ指揮ボストン交響楽団(WHRA他)1959/7/24live・CD

古典回帰したレスピーギの編曲だがブラスをぶっ放し派手に盛り上げるスタイルは健在だ。結果としておよそバッハではない世俗的な、ストコフスキーによく似たものに仕上がっている。モントゥーだから、さらに音楽を愉悦的に盛り立てていて、世俗性はさらに増す。ある意味ききやすいが、原曲の瞑想性を求めるとかんぜんに気分を害するだろう。

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

マデルナ指揮ミラノRAI交響楽団(SLS)1966/2/11ミラノlive

こもったステレオ。最初から引き込まれた。抒情的な演奏で、バレエではなくコンサート用として設計されている。オケの弱さもあってそれゆえの「甘さ」もあるが(マデルナにしては引き締まった筋肉質の演奏ではある)増してドラマティックでわかりやすいハルサイになっており、旋律美や響きの鋭さ、リズムの迫力、すべてが「楽しく」期待以上のものを聞かせてくれた。飽きる曲だがこれはどうしようもなく破滅的な拡がりをみせる最後までドラマを楽しむことができた(オケはお疲れ気味)。ブラヴォが飛ぶ。少し冷たい音に聞こえるのは私のプレイヤーのせいだろう。

ラヴェル:ツィガーヌ

フランチェスカッティ(Vn)マルティノン指揮シカゴ交響楽団(SLS)1966/3/17シカゴlive

このソリストにしては無個性かな、という気もしたが、激してきたところの技巧の完璧さに沿うように音色も甘さが出て、あのフランチェスカッティの音になる。ライヴで細部までミスが皆無、これはすごい。それはオケにもいえる。マルティノンが弛緩傾向を示さずじつに職人的にオケをソリストと融合させている。これは正規レコード化してもおかしくない演奏だなあ。最初に述べたようにカンタービレのない曲だからソリストのメリットがあらわれにくいのは確かだが。盛大な拍手だがブラヴォの出る場所ではない。ステレオ。

ドビュッシー:管弦楽のための映像

マルティノン指揮シカゴ交響楽団(SLS)1967/3/17シカゴlive

3曲からなる組曲で2曲目の「イベリア」がさらに3部に分かれるという大曲で、組曲といっても内容的な共通点は少ない。しかし音楽的には似たムードがえんえんと続く心地がして、長大なバレエ音楽を聴いているようなつまりダフクロのような、ゆったりと引いたスタンスで聞くべき、そしてそうでもしないと「春のロンド」のせっかく盛り上がるところですでに飽きてしまっている可能性がある。マルティノンは名器を使うと極端に上手い。シカゴは決して良い関係だったわけではないが楽団はほかにないほどぴたりとつけいつもの、音符の間に空気の通るような冷めた技巧を提示するようなところは「ない」。円熟した流麗なドビュッシーの部分部分熱いので、本とこの組み合わせはもったいなかった。爆発的なところはないが、全曲版としてよくできている。もっとも曲が有名だからかな。ちなみにこの精度でライヴなのである。良いステレオ録音。

グリンカ:ルスランとリュドミラ序曲

ケーゲル指揮ドレスデン・フィル(HMV他)ミュンヘン?・CD

華やかで明るいルスラン。鋭さについてはケーゲルらしくもなく普通だが、この曲を内声まで構造的にしっかり組み立てた演奏は珍しいのでは(終盤)。

ストラヴィンスキー:サーカス・ポルカ

ケーゲル指揮ドレスデン・フィル(HMV他)マインツ・CD

作曲家本人の演奏のような残響が多くゆっくりした機械的なリズムをとっている録音だが、ケーゲルらしく威厳を持ち込みリズミカルな処理もうまく、まあまあの結果となっている。

エルガー:威風堂々第1番

ケーゲル指揮ドレスデン・フィル(HMV他)ボン・CD

私はこの「音楽の花束」曲集の中で一番楽しめた。毅然とした態度とアグレッシブな表現が共存し、少し響きが軽いかな、と思いつつも引き込まれてしまう。けっこう揺れるテンポもかっこうがよい。ケーゲルに合っているのだろう。

ファリャ:「恋は魔術師」より火祭りの踊り

ケーゲル指揮ドレスデン・フィル(HMV他)ベルリン・CD

ここでは少々激したケーゲルが聴けて楽しい。が、この曲の演奏としては中っくらい、といったところか。
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